Z世代による、Z世代の情報を収集・発信するチーム、OPAの若者トレンド研究会(ワカ研)の取り組みが館やその運営を変えようとしている。
館の動向に寄与
金沢フォーラス3階に23年12月オープンしたカフェ「モノクロチャヤ」。漫画の世界に飛び込むような装飾、カラフルなメニューなどインスタ映えするあり方はZ世代を呼び込み、能登半島地震の影響が落ち着いた3月以降、入館・買い上げ客数が1割上回る館の動向に寄与している。導入にあたってワカ研は館に来るZ世代に希望するカフェのタイプを直接聞き取り、その内容をリーシング担当に伝えたことで具体化した。窓のありなしや上層か下層かなどアンケートの設問は簡単にしつつ、理由まで聞き出し、館の活性化の精度向上につなげている。
リアルな姿が分かる
ワカ研の取り組みが始まったのは22年4月。同社の主要ターゲットであるZ世代のリアルな声を集め、深く理解するために、コミュニケーション推進室で入社間もない社員を配置した。テーマを設定して館でZ世代の顧客に直接聞いたり、SNSで集めた声を分析、『OPAマガジン』として発信しているが、23年4月には分かりやすくしようとワカ研の名称にした。担っている安達史花さんは「ネットでは調べられない、ニッチであってもリアルな姿が分かる」として、これまでにカフェの好みのほか、マスク事情、服の手放し方、さらには社内からの要望に応えた働き方などのテーマでZ世代の実像に迫っている。
収集した情報はマガジンのほか幹部向けの勉強会などでも提供されており、リーシングのほかイベントなどでZ世代にアプローチするOPAとしてのベクトル合わせにつながっているという。もう一人のワカ研メンバー、佐藤淳紀さんが「館のSNS担当を集めた勉強会も行った」というようにZ世代の情報を背景にして活動を広げているが、さらにホームページでマガジンを発信していることで、外部企業から注目されるようにもなっているという。
今後について安達さんは「施設ごとにZ世代のネットワークを作りたいですね」。同社は金沢のほか、横浜、高崎、神戸、博多などで商業施設を運営している。それぞれ地域活性化の役割を担っており、構築するネットワークをそれに生かすことを見込んでいる。