楽天ファッション・ウィーク東京24年秋冬は、デザイナーそれぞれが強みを深掘りし、色濃く表現したフィジカルのショーが相次いだ。リアルクローズを軸としながら、素材の生かし方、スタイルの見せ方ともに、新しさとオリジナリティーの備わったクリエイションが広がった。
(写真=タナカ、カミヤ、ハイドサインは堀内智博)
【関連記事】楽天ファッション・ウィーク東京24年秋冬が開幕 自由な形でブランドの魅力伝えたい
タナカ(タナカサヨリ、クボシタアキラ)は、ジャズピアノの演奏とともにデニムの魅力を豊かに引き出した。モノトーンの植物柄をシャーリングで造形したミニドレスは、ホワイトデニムをベースに、クチュールっぽさも感じさせる柔らかなフォルム。男性のモデルはタックを寄せてコサージュのような形を作り出したシャツを、ノンウォッシュデニムにタックインする。カジュアルな素材と対極にある、艶っぽさやエレガンスを表現する。
日本製のデニムを生かすクリエイションのなかで、新しい美しさを生み出していくしなやかな感性が光る。ニューヨークを拠点にするタナカらしさを感じさせるのは、ジャズのように異なる要素をリズミカルに調和させるスタイリング。Gジャンにベルベットのショート丈ダウンジャケット。デニムパンツをももで切り替え、シルキーな素材でドレープシルエットを作る。アクティブでセクシー、大人のエレガンスも備わったバランス感覚がぐっと迫ってくる。アクセントに取り入れるのは羽のモチーフ。「自由が制限されている人がたくさんいることに憤りを感じるなかで、デニムとともに自由を象徴する翼に着目した」とタナカは話す。
チカキサダ(幾左田千佳)は、スタジオで3人の少女がバレエの準備体操をするシーンで始まった。自らの幼少期を振り返り、バレエをコアにしたワードローブの世界を一段と奥行きのある形で見せた。