EC発のレディスブランド「ランデブー」が、成長戦略を加速している。16年のブランド立ち上げから、インスタグラムを中心にSNSでじわじわとファンを増やし、今夏にはルミネ新宿・ルミネ2に初の実店舗を出した。20代の女性ディレクター、山本正華さんが作る等身大の服で共感を集めている。
(関麻生衣)
当初は「10~20代の女の子が欲しいものを」と韓国アパレルを買い付けていたが、昨夏からオリジナルに力を入れている。現在のオリジナル比率は7割で、残りの3割がアクセサリーを中心とした買い付けや別注品となっている。
消費者に近い感覚で
ランデブーは山本さんが10代で立ち上げた。好きな洋服で仕事がしたいと、高校卒業後は服飾の専門学校への進学を考えた。しかし、「技術職は肌に合わない」と進学はせず、アパレルの経験や技術がないままブランドを始めた。運転資金の一部は「メルカリで貯金した」という。
アパレル業界での下積みがないことを逆手に、既成概念に縛られず、消費者に近い感覚で本当に欲しい服や雑貨を作れているのが、ブランドの強みになっている。今でも商品の企画会議には技術や経験のないスタッフを入れ、柔軟なアイデアを大事にしている。
背伸びした服を
ベージュや茶の落ち着いたトーンを基調とした、シンプルなデザインが特徴だ。山本さんは「年上の彼氏につりあう、大人っぽい雰囲気を常に意識している」と話す。定番はロング丈の「ナチュラルドレス」(1万2000円)。光沢のある生地にプリーツ加工した、エレガントで動きのあるドレスだ。ウエストはゴムで、楽な着心地も幅広い年代に支持されている。
ファンに寄り添うことも重視している。SNSで需要を引き出したり、「いいね」の数で商品の反応をみたりして企画に生かす。例えば、毎シーズン人気のバケットバッグは「パソコンや教科書がすっぽり入るハンドバッグが欲しい」という学生の声から着想した。
インスタグラムは投稿の頻度と見せ方を工夫している。ステマ(ステルスマーケティング)に敏感な消費者には「露出が多すぎてもあまりいい印象に映らない」ため、24時間で自動的に消えるストーリーズを効果的に活用している。SNSの発信でも山本さんが主体となり、自身がモデルとなるほか、一つひとつの投稿のチェックも欠かさない。
服との相乗効果
アパレル以外の分野にも乗り出した。5月、姉妹ブランドとしてコスメの「シェリゼ」を始めた。ランデブー立ち上げ当初からの念願で、企画には1年半をかけた。
商品はルージュ3本。山本さんの友人やSNSから意見を募り、質感をセミマットにしたり、保湿効果を持たせたりした。「重さがあると大切にしたくなるから」と、わざと重りを付けたのも特徴だ。店頭ではランデブーとの相乗効果を発揮するため、服と合わせてトータルで提案している。今後、ルージュ以外の商品も増やしていく考えだ。
販路の拡大も視野に入れている。「東京に路面店を出したい」と意欲的だ。アジアを中心とした海外での販売も伸びており、特に台湾での商機を狙っている。