「無関係の話だと思っていたが、すごく関係があるとわかった」。生地製造卸のラトレ(大阪市)は、社内向けに繊維・アパレル業界を取り巻く環境問題を主題にした研修を開き、全社員7人が参加した。これから本格化する欧州を中心とした輸出に向け、必要な知識を深めた。
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講師に繊維業界の国際動向に詳しい信州大学繊維学部特任教授の稲垣貢哉氏を招いた。フランスを中心とした欧州の業界動向と法整備の現状、日本との比較などについて話した。研修後に稲垣氏と従業員が活発に意見交換した。ある従業員は、「輸出するといっても準備しておかないと対応できないとは思っていたが、もっと厳しく考えないといけないと感じた」と述べた。「日本はグリーンウォッシュ(みせかけの環境対応)が多すぎる。これが改善されていくのか不安」という意見もあった。
「欧州の業界はサステイナビリティーの取り組みが進んでいるが、消費者の意識も高いのか」との質問に対して、稲垣氏は「そんなに変わらない。ただし、業界団体は自国の産業は自分たちで守るという意識が高く、それが法整備につながっている」と指摘した。
同社は8月末、ニッターの信和ニット(和歌山市)、染色の春日染工(名古屋市)と共同でGRS(グローバル・リサイクル・スタンダード)認証を取得した。GRSの基準にのっとって、編み立てから染色加工、生地および製品の販売まで一貫したサプライチェーンを持つことが強みとなる。GRSでは社内研修の実施が求められており、その一環で今回の研修を開いた。信和ニット、春日染工でも後日、同様の研修を実施した。