庫本亮さんが20年に立ち上げた「ルーム106」は、レザーショップ兼バッグ修理工房だ。庫本さんは、店を構える京都府八幡市にある男山団地で育った。レザーのネクタイやバッグの製作、革製品の修理を中心に手掛けている。
(多田知史)
コロナ禍に開業
レザー業界を志したきっかけは、27歳のときに入社した皮革輸入会社だ。服飾用レザーの営業として経験を積んだ。その後、東大阪で独立し、OEM(相手先ブランドによる生産)を中心としたかばんメーカーを立ち上げたが、相手の都合に左右される働き方に危うさも感じていた。そこで、地元の京都に戻り、自分のブランドを持つ道を選んだ。
職人から教わった技術を生かし、20年にアトリエ兼ショップを構えたが、開店時期がちょうどコロナ禍と重なった。百貨店の催事や展示会は軒並み中止に。それでもサンプル作りを続け、ECやクラウドファンディングを活用しながら事業をつないだ。前職の営業で培った知識や技術が、現在の活動の基盤になっている。
中でもレザーのネクタイは、「マクアケ」や「キャンプファイヤー」のクラウドファンディングで人気を集めた。クリスマスや成人式のギフトとして人とかぶらないアイテムを求める若者から支持されているほか、還暦祝いとして赤いちゃんちゃんこの代わりに実用的な赤いネクタイを贈るケースもある。
カラーにもこだわりがある。「革屋っぽくしたくない」という思いから、黒や茶の定番色だけでなく、ワインレッドやグリーンなど幅広い色を揃える。チーフとのセット販売も行い、身だしなみをそろえられる珍しいギフトとして差別化している。すべてをインドネシア産カルファタ材の木箱に入れて販売し、贈り物としての魅力を高めている。今後は靴とのセットアップ提案も視野に入れる。
地元を盛り上げたい
倉本さんにとって男山は特別な土地だ。長く暮らしてきた団地の商店街に構えた店舗兼工房は、物作りと販売を一体で行える理想的な拠点となっている。手の届く場所で作り、作り手の顔を知って買ってもらいたいという思いが詰まった店だ。ネクタイの製作やオーダー品、革製品の修理もすべて店舗で行う。
店を構えたことで地域とのつながりも広がった。子供110番の店として小学生が立ち寄るほか、22~24年には「男山中央センター商店街」の会長、現在は副会長を務め、商店街の活性化に力を注ぐ。高齢化が進み、店同士のつながりが弱まる中、もっと広い意味でのつながりが必要と考え、約30人の有志と「男山盛り上げ隊」を結成。ハロウィーンやスタンプラリーなど子供から大人まで参加できるイベントを企画し、地域のにぎわいづくりに取り組んでいる。

