店長のお悩み例について、臨床心理士の本多公子さんに答えてもらう「サプリお悩みクリニック」。
今回はこちらのお悩み・・・
Q2、スタッフのモチベーションの引き上げ方で悩みます。
仕事は真面目だが、決められたこと以外は無関心。自発的に働いてもらうにはどうすればいいでしょうか?
A、「自分もそうだったな」と振り返り、挑戦しやすいことからクリアしてもらいましょう。
方法① チャレンジしやすい目標を与え評価する
本人の得意分野を見つけてあげることが近道でしょう。できないことをチャレンジしなさいと言ってもハードルが高く、それを飛び越える方法も考え難いもの。まずは本人にとってイメージしやすく、チャレンジしやすいハードルを用意し、結果を評価することがモチベーションアップにつながります。
よく言われる「最近の若い子は自発性、自主性がない」という意見も、それは自分自身が課題を解決するスキルを身に着けているから見えることです。誰もがそういう時期を乗り越えてきているのですが、その経験を忘れてしまう。「自分もそうだったな」と振り返り、その状況を乗り越えるサポートをしてあげましょう。
方法② ある程度の責任を委譲する(任せる)
例えば、Aさんには3カ月間バックヤードの整理を一任する。それを周囲にも公表します。その件に関して、何かあれば周りもAさんに相談するように設定すれば、Aさん自身が問題解決に対して自主的に考えるスキルが身に着きます。
ポイントは頼む内容が相手にとって挑戦しやすいもので、かつ、うまくいかなくても店にとって致命的な課題とならない案件にすること。最初から大きなものを与えず、できるだけかみ砕いて委譲しましょう。
方法③ 相手に合わせて指示の仕方を変える
また、指示をする際にスタッフのプライドを気にする店長も多くいます。プライドの抱き方にもパターンがあり、例えば
- アパレルの仕事をずっとやり続けてきたことにプライドを持っている
- 学歴や年齢などからプライドが高い
などがあります。
①の人にはその経験を否定せず、「こうしたほうがより良いかもしれませんよ」「こうしてくれると助かります」とプライドを尊重しながらアドバイスを。
②の場合は自らの判断に自信があるため、独断で行動してしまう人もいます。この人には「権限のスペース」を明確にしてあげましょう。この範囲まではあなたの判断で行動し、それ以上のことに関しては、キャリアがこの位置になれば任せます、とクリアな線引きをしてあげることが互いにとってやりやすい関係になるのではないでしょうか。
先生紹介
ほんだ・きみこ 臨床心理士。消防庁緊急時メンタルサポートチーム専門家。PTSD専門研修(厚生労働省事業)名簿登載者。「心の健康にも予防が大切」をキーワードに、個人やカップル、家族への心理療法と、企業へのメンタルヘルスサポートを行うとともに、セミナー・講演会の講師としても幅広く活躍。