ビッグであるよりグッドでありたい
次世代にも新たなチャレンジ望む
シップスが今月3日で創業から40周年を迎えた。上野アメ横の1坪半(約4.95平方㍍)の店からスタートし、現在の店舗数は全国で74(アウトレット含む)、売上高250億円の規模にまで拡大してきた。セレクトショップの草分け的存在である同社を一代で育て上げた三浦義哲社長に今後のシップスの舵(かじ)取りについて聞いた。
未来に向け基礎固め
今年で創業40周年。今春は、6店を新規出店し、私が小学校時代を過ごした大分県にも、40周年の節目で出店することもできた。改めて振り返ると、きつい時期や出来事もあったが、それを乗り越え、未来に向けた会社組織の基礎固めを行うことができた。
30周年の時は、都内に点在していた管理部門、商品管理、プレスなどの機能を銀座の本社に一元化した。13年にはSHCを設立し、その傘下に小売りのシップス、輸入卸業務やアウトレット事業の関係会社を置いた。
これで今後の事業継続の形がある程度整った。セレクトショップは、出店や業態開発を市況変化の中で判断する。上場すれば株主の意向に沿い、成長を考える必要が生じるわけで、当社の場合は、持ち株会社化が事業継続していくための最良の方法だったと思う。
シップスは(他社と比べれば)ここまでの成長は緩やかだったかもしれない。ビッグであるよりグッドでありたいという気持ちが強かったからだ。しかし、アウトレットを含め、全て店舗を直営で運営し、売上高250億円という規模は決して小さくないと自負している。
格好良い新しいもの
これからは、新しい世代が次のシップスを作っていく。会社を継続する仕組みもできたし、人も育ってきた。今、誰ということを言うつもりはないが、今後、5年で後継者を真剣に考え、決めたい。店や会社が生き物だということをちゃんとわかっている人材がふさわしい。
会社が生き物というのは、40年やってきた実感でもある。売れない時は、店は荒れているもの。人手が足りなかったり、在庫がたまったりすると、売り場が疲れ、それが数字に現れる。それに誰よりも早く気付き、ケアすることが経営者には求められる。
次の世代にはシップスの伝統を引き継いで欲しい。それは変わらない、という意味ではない。私がシップスを始めたのは、ある意味何もない時代。そこで自分たちが格好良いと思うもの、新しいことをやったからお客様に価値を認められ、今に至っている。未来のシップスもその時と変わらず、新しい、格好良いと思うものをやって欲しい。それがセレクトショップというものだと思う。