すっかり涼しくなったベルギーですが、ブリュッセルでは、“ビール・ウィークエンド”や“アール・ヌーヴォー&アール・デコ・ビエンナーレ”など、さまざまなイベントが催され、街中は活気づいて参りました。
今回はその中から、アトミウム近くの展示会会場、ブリュッセル・エキスポにて開催されたMoOD展の様子をお伝えいたします。
ご存知の方も多いとは思いますが、MoOD展は、今年33回目を迎えた、室内装飾のための国際的なテキスタイル見本市です。その名称は、「Meet only Original Design」の頭文字をとったもので、出展者が提示するオリジナリティに重点が置かれています。今回は、25カ国 200社の出展がありました。
それぞれの大きなブースは、個性的なデコレーションが施されており、その中に入ると、各社のテキスタイルの持ち味がより良く伝わってきます。
また、ここでは、ニューヨーク、パリでも開催されている、indigo展も同時に観ることが出来ます。テキスタイルのパターンを紹介するindigo展は、今回、18カ国からの参加がありました。
ずらっと並んでいる各社のブースですが、ひときわ強い存在感を放っていたのは、日本から出展していたNIX社 です。
コンピュータでのパターン出力が多い中、ハンドメイドを重視しているNIX社のデザインは、その手描きの手法と日本らしいモチーフや色彩の持つ力強さで、観る人々の目を惹いていました。
3日間の会期中には、16もの講演が開かれ、会場の一部には ミーティングの場であり、また、専門の雑誌が閲覧でき、スタイリング、色彩アドバイザーとのコンタクトもとれる場“MoOD Media Bar”が設置されました。
そのほか、新素材、新デザインの提案を紹介する“Change Platform”、そして、毎年9月にブリュッセル市内で催されるデザインイベント“Design September”のブースに、リサイクルの素材を用いたデザインチェアーも展示されるなど、多岐にわたる視点からテキスタイルに迫る沢山の試みを目にすることができました。
今回までのMoOD展は、第7、第9、第11ホールで開催されましたが、2014年からはブリュッセル・エキスポの中心である第5ホールに移転する予定です。
来年、さらにパワーアップするMoOD展に大きな期待が寄せられています。
前田彩子 パタンナー、企画デザイナー等を経験後、京都工芸繊維大学大学院博士課程修了。ベルギー政府助成の制作研究員を経て、ブリュッセル王立美術アカデミー修士課程修了。執筆、制作活動を継続中。NEKOEYES (www.nekoeyes.com)主宰、ライター。