スノーピーク キャンプ初心者獲得に注力

2018/04/05 04:30 更新


 キャンプ用品メーカーのスノーピークが、キャンプ初心者の獲得に力を入れている。今年、新定番のエントリーモデルを発売したほか、必要な道具を貸し出し気軽なキャンプ体験を提供する「手ぶらキャンププラン」も拡充。サービスを展開するキャンプ場を増やし、利用者の拡大を目指す。

(杉江潤平)

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 同社は今春、ビギナー向けの戦略商品として新型テントとタープをセットにした「エントリーパックTT」を導入した。テントの「ヴォールト」は、従来のエントリーモデルである「アメニティドーム」よりポールが1本、ペグが2本少なく、キャンプ初心者でも簡単に設営できる。価格を抑えるため製造委託先も変更し、数年かけて工場にテント作りのノウハウを伝えたという。

 その結果、ヴォールトの価格は2万9800円と、ほぼ同サイズのアメニティドームM(3万2800円)を下回った。さらに、定番のヘキサタープ(単品では2万6800円)とセット販売することで、別々に購入したときと比べて6800円安くした。

 アメニティドームの販売数量は前期(17年12月期)、S・M・L合わせて約2万個だったが、ビギナー向けモデルの実質的な値下げとなるエントリーパックTTは今期、3万5000個の販売を見込む。

 同モデルは利益貢献度も高く、アメニティドームの粗利益率が20%程度なのに対し、エントリーパックTTは45%を想定している。そのため販売数量が3万個となった場合、粗利益で6億7000万円程度の押し上げ効果があると見ている。

新たなビギナー向け商品として提案する「エントリーパックTT」。テントはスノーピーク初のカマボコ型

 エントリーパックTTの出足は好調だ。2月末に先行予約を始めたところ「予想を上回る大きな反響」(同社)だったため、発売日を3月31日に前倒しした。ECと直営全店ではすでに完売となり、現在は次回4月下旬に入荷予定分の予約を受け付けている。

 ビギナー向けのサービスも強化している。これまで新潟県三条市にある同社本社敷地内のキャンプ場のみで開催していたエントリーユーザー向けのキャンプサポートプログラム「手ぶらキャンププラン」(1泊3万9800円)は今期、大阪・箕面、大分・奥日田などにある直営キャンプ場や、提携キャンプ場にも広げる。その結果、前期は300だった同サービスの利用組数を、直営キャンプ場(5カ所)で900、提携キャンプ場(30カ所)で600に増やす。同社によると、手ぶらプランはキャンプ用品の貸与が中心のため、製品販売に比べて利益率が高いうえ、利用ユーザーのうち約2割が同社製品を購入するため、販促効果もあるという。

◆今期黒字に転換へ

 同社はこのほど、20年を最終年度する中期経営目標を発表した。前期(17年12月期)で99億1000万円だった売上高を20年度には153億4000万円(17年度比55%増)、営業利益は15億5000万円(17年度は1億4200万円の赤字)に引き上げる。

 増収の柱は、新規出店とエントリーパックTTの拡販。自前店舗で直接小売りする「直営店」と、専門店内などの専用売り場で自社スタッフが常駐・販売する「インストア」数を、前期末の計101から20年度までに計125へと増やす。

 なお、今期は売上高115億円(前期比16%増)、営業利益2億円を見込む。



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