墨田区の町工場イベント「スミファ」 物作りの魅力を発信し、持続可能性を追求

2026/01/21 06:27 更新NEW!


伝統技術を継承して地域振興につなげるのが「スミファ」の目標

 スミファ(墨田区のファクトリーから命名)は東京・墨田区の町工場を巡って職人と話し、技術に触れるイベントだ。同区は東京スカイツリーのある街として知られるが、都内では大田区と並んで中小企業の工場が多く、繊維、皮革・革製品、せっけん、ガラス・ホーローと分野が広い。伝統技術を継承し、物作りの魅力をPRして地域振興につなげるのがスミファの目標で、スカイツリーが開業した12年に開始した。事務局体制を補強し開催した昨年11月の第13回は参加企業が増え、飲食など幅も広がり来場者が伸びた。

「共創」をテーマに

 今回テーマに掲げたのは「共創」。コロナ禍の中止を挟んでの再開に合わせて、参加企業が仲間となって新たな価値を生むことをイメージした。新体制のメンバーで、改めてビジネスの活性化、新作の開発、働く人の意欲向上につながること、継続開催で持続可能性を高めることを確認しての再出発となった。参加企業は繊維、印刷、金属、皮革など52社で、前回の36社から大きく増えた。カフェやチョコレート会社2社が加わってスタートアップから老舗企業まで揃い、参加職人の世代が拡大した。スタンプラリーの参加が候補31社のうち25社が快諾するなど参加機運も盛り上がった。11月14日から3日間の来場者は延べ5000人で、前回比1000人増と伸びて工場見学ツアー、ワークショップ、物販、スタンプラリーとどれも人気だった。

山口産業で熱心に説明を聞く参加者

拠点会場で商品説明

 今回は隅田川沿いにある東京ミズマチ・コネクトすみだ「まち処」に、期間限定店もオープン。〝メイド・イン・スミダ〟の雑貨やギフト商品を集積して2週間にわたって販売した。そのほか、拠点会場でクリエイターやファクトリーブランドが紹介され、物作りの現場で働く人やデザイナー、クリエイターが自分の商品を説明し、提案に込めた思いを熱く語った。

 スミファの土台には同区の地域振興事業の実績がある。1985年から始まった「すみだ3M(スリーエム)運動」(注1)や09年からの「すみだ地域ブランド戦略」(注2)が柱で、そこでの蓄積がスミファに結実している。以前から自治体や団体の視察が多く、全国的に注目されている取り組みだ。

 「子供の頃、近所の工場は周辺住人に開放され、そこで貰ったモノが宝物だった。それがいつ頃からか工場は〝危ない、うるさい、臭い〟となった。かつての関係を取り戻すためには、まず近隣にある工場を知り、技術に触れてもらうこと。工場で働きたい人が生まれるのが理想です」と事務局の石川諒さん。石川さんは墨田区生まれで今年から運営に加わった。事務局ではインスタグラムを活用して発信・告知に力を入れるほか、周辺の学校にも働きかけている。並行して商談会や個別のマッチングにも取り組んで工場を盛り上げている。

(注1)3M運動=墨田区が手掛ける地域活性化、産業PR活動。ミュージアム(博物館)、マイスター(職人)、工房ショップ(マニュファクチャーショップ)の頭文字から命名。参加企業に認定ステッカーを配布して見学などに応じている。現在はミュージアム25館、マイスター36人、工房ショップ18店。

(注2)すみだ地域ブランド戦略=地域ブランドの創出・PRを目指して付加価値の高い商品や飲食店メニューを「すみだモダン」の名称でブランド認定。21年9月から活動の総称をすみだモダンに変更して背景にある事業者の活動や新しい産業PRを図っている。認証事業者は10~18年113社、21~25年37社、認証商品は10~18年155点、21~25年24点。



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