「ランジェリーを通じて女性の美と健康を応援したい」。兵庫県宝塚市を拠点に、長年インナー業界に携わってきたRIEMIさん。近年は、後進の育成を目指した女性下着専門の教育機関「宝塚ランジェリーデザインスクール」の学長として、活躍の場を広げている。
(山田太志)
大手下着メーカーに入社、商品開発、CAD(コンピュータによる設計)、縫製の経験を積んだ。11年に独立後は、インナーメーカー、ECや通販など数多くの企業でデザイン指導やコンサルティングを行い、現在はプリレーヴジャパン代表取締役、日本ボディマインドクリエイト協会理事長を務める。開発した商品は5000点以上、ボディーチェックに関わった女性は1万人以上に上る。バンタンのランジェリーコース講師も経験してきた。
宝塚歌劇団に代表される地元への愛着も人一倍強い。宝塚の自宅の一部を改装してオフィスを開設。インナーを切り口に、地元の女性たちにコミュニティーを広げてきた。今は小休止中だが、フィッティングイベントや歌劇鑑賞などを実施し、地域の魅力をアピールする。
ただ、ランジェリーに興味を持つ人が増えても、アウターと違い、教育の場の少ないことを痛感していた。技術を習得した後も、実際のビジネスにつなげていくことの難しさも感じてきた。こうした思いから、19年11月、知識ゼロの人でも参加できる宝塚ランジェリーデザインスクールをスタートする。
コースは5カ月間。15回、1回50分の授業は4コマ構成なので計60回の授業という本格的な内容。デザインの初歩から製品の完成、ブランディングやマーケティング、販売の組み立て、素材・資材・縫製などの生産基盤の整備、物流の組み立てまでを一気通貫で学べるのが大きな特徴。コースは希望により、ベーシック、アドバンス、認定トレーナーへと進むことができ、時には就職のサポートまで行う。
費用は1コース約25万円で、実地研修や特別講師の講義も多彩に盛り込む。2月の講義には、栄レースの澤村徹弥社長のほか、ユタックス、卒業生で既に起業したブランド「マドレア」の代表などが講師を務めた。
1期生募集の時点で宮崎県からの応募があり、開始時からリモート講義を取り入れたため、コロナ下でも授業を継続できた。一方で、実際の製造現場の見学などは難しく、計画通りにいかないジレンマもある。卒業生はまだ13人だが、「1コースがあっという間に終わったと感じるほど参加者の熱は高い。卒業生が実際に起業し、マドレアのように講師で参加してもらえることが一番うれしい。スクールを通じて業界に少しでも恩返しができれば」という。今春からは5期生の募集も始まる。培ってきたネットワークを生かしながら、さらに授業内容の充実を進めるほか、素材や資材の共同手配など様々なバックアップ体制の整備にも力を入れていく。
(繊研新聞本紙21年2月24日付)