LHDとは?
ロール・エリアール・デュブルイユ_ 頭文字を繋げてLHD(エル・アッシュ・デー)と呼び親しまれています。
パリ生まれのロールは、米国のセレクトショップ「ザ・ウェブスター/THE WEBSTER」の創業オーナーであり、アーティストの夫との間に産まれた4歳の男の子のママ。彼女はニューヨーク州立ファッション工科大学でマーチャンダイジングのディプロムを、またパリ大学ドーフィンヌではビジネスと中国語のディプロムを取得。
ニコラ・ジェスキエールの下、「バレンシアガ」で、そして「イヴ・サンローラン」のマーチャンダイザーとしてのキャリアを積み、渡米。フロリダのサウスビーチで見つけた30年代のアール・デコ調のホテル「ザ・ウェブスター」を大改装。名前をそのまま残し高級セレクトショップとしてスタートさせたのが2009年のこと。
「ザ・ウェブスター」はバルハーバー、ヒューストン(テキサス)、コスタメサ(カリフォルニア)と店舗を増やし、昨年はソーホーに1800平方メートルのNY旗艦店をオープンさせました。
ボン・マルシェで再び
ロールは3年前、パリ左岸の百貨店ル・ボン・マルシェで「ホワイトコレクション」と名付けたイベントで、いくつもの煌めくラグジュアリーブランドと白一色の独占商品を展開し大成功。この仕事バリバリって感じのする、ニューヨークのパリジェンヌ、ローラが今度は再びボン・マルシェで、今度は自身のリゾートファッションブランド「LHD」の初コレクション、とってもカラフルで楽しいThe Miami Collection を引っさげポップアップを展開。(コレクションについては本紙で紹介したので、ここで説明は省きます。)
カロリーヌ・ド・メグレをはじめ、パリの女子セレブたちが駆けつけ初日から景気よく盛り上がる!3年前のイベント「ホワイトコレクション」でも感じていたのですが、ローラはコミュニティ型のオーラを持っているんですよね。たとえば、「LHDのイベントだから行く」_この「LHDだから…」に何かすごい価値を感じさせるのです。
「ロールの服が欲しい!」から生まれたLHD
ポップアップオープンのために、ちょっとだけパリに滞在したロールに会ってみたい!、どうして自分のブランドを立ち上げたのか?_ とてもありきたりなことを聞いてみたいとボン・マルシェへ。実際、「バリバリ」した女性という予想は消えて、女子会リーダー的太陽のような笑顔がとてもいい。面と向かってお話するのは初めてでしたが、自然とお友だちのような空気にしてくれました。
_「LHD」について話して
LHD :ザ・ウェブスターの顧客たち、デザイナーたち、みんなみんなに「いつブランドを立ち上げるの?」と聞かれていたの。でも、「全然そんな時間なんかない!何言ってるのよ!!」とお決まりの返事をしていたのだけど。それに世間にはブランドが溢れてるし。今さら自分のブランドを立ち上げたところで何になるか、と思っていたんだけど。とは言え、「ブランド立ち上げて」のリクエストが続くいてくると、それが頭の中にインプットされてしまい、だんだん考え直して見るようになったの。今、ファッションに何か足りないものあるよねって。
それで私は、まずはプリント、そしてアクセサリーにフォーカスして、私の大好きなヴォワヤージュ(旅行)のためのコレクションをやってみることに決めた。旅への行き先に向けた理想的なスーツケースの中身を創造しようって! コットン、シルク、カシミヤ、カンタンにミックスできる素材を使ったアイテムで、朝から夜まで、ビーチからカクテル、マリアージュ(結婚)のセレモニーまでなんでもスタイルングできるコレクションを! 私はプレタポルテラインに集中して、アクセサリーは友だちに任せたの。
_ いろんなクリエイターとコラボしてるよね
LHD:そうなの。靴はピエール・アルディ、帽子は「メゾン・ミッシェル」、バックは「ヘイマット・アトランティカ」、ビジューはオレリー・ビダマン、アイウェアは「リンダ・ファロー」、スイムスーツは「エレス」。以前組んだことのあるクリエイターや友だちにコラボレーションをお願いしたのだけど、受けてもらえてとてもうれしかった。みんなLHDファミリーなの。コラボアイテムはLHDブランドよりちょっと高いけど、ミックスすることがLHDのよいところだと思ってる。
_ これからLHDをどのように展開するの?
LHD:3年前のボン・マルシェでのイベントのおかげで、インターナショナルステージの第1歩が踏み出せた。次は徐々にホールセールスを拡大させて行きたい。私は日本の大ファン。昨年春に東京、京都、直島を旅行して沢山インスピレーションを受けました。私のコレクションがもつフェミニンさ、カラーは日本で受けると思う。
自身のブランド、ザ・ウェブスターの経営者、そして一児のママの顔を持つロールですが、母親から胎児へのHIV感染撲滅を目的とした非営利団体mothers2mothersのアンバサダーとして、南アフリカを訪問したり、米国でも積極的に活動しています。
「仕事も社会奉仕も私の人生の中でみんな一つになっているの。すべてを自然な流れで発展させていく。これが私、私自身なの」とロールは笑顔で話してくれました。
今時の取材では、オンラインショップの開発とか、インスタやフェイスブックの利用法などについて自然と出てくるのですが、彼女との会話にはありませんでした。よくある携帯電話を盗み見しながら喋ることもなかったし、携帯すらも手にしてなかったこと後で気づきました。
LHDのファーストコレクションの行き先はマイアミ(すでにsold outアイテムも)。次はどこのリゾートにつれていってくれるのだろう?
https://lhd.us/collections/miami
松井孝予
(今はなき)リクルート・フロムエー、雑誌Switchを経て渡仏。パリで学業に専念、2004年から繊研新聞社パリ通信員。ソムリエになった気分でフレンチ小料理に合うワインを選ぶのが日課。ジャックラッセルテリア(もちろん犬)の家族ライカ家と同居。