《センケンコミュニティー》新幹線開業記念~ゴールデンウイークの旅先は北陸で
新幹線開業に沸く北陸地方。東京との「距離」もぐっと縮まった。開業を記念して北陸3県(石川、富山、福井)にゆかりがある方々に、魅力やお薦めスポット、地元愛などを聞きました。おいしい料理に舌鼓を打つもよし、自然を満喫するもよし。ゴールデンウイークの旅先は北陸で決まり!
- ■富山の染色加工、第一編物グループ 小田浩史社長 立山連峰の自然は圧巻
- ■福井で創業したアイジーエー 五十嵐昭順社長 福井は社長が一番多い
- ■金沢でセレクトショップを運営する桜グループ 西野浩平社長 オレが金沢を盛り上げる
- ■福井の機屋、第一織物 吉岡隆治社長 隠れた逸品がいっぱい
「この会社も!」
北陸に縁のある主な企業
■石川
小松精練(能美市に本社)
丸井織物(鹿島郡に本社)
津田駒工業(金沢市に本社)
■富山
ゴールドウイン(小矢部市に本店)
YKK(黒部市に事業所)
助野(高岡市に本社)
ムー(富山市の専門店)
■福井
セーレン(福井市に福井本社)
SHINDO(あわら市に本社)
ヒットユニオン(武生市で創業)
サカイオーベックス(福井市に本社)
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■富山の染色加工、第一編物グループ 小田浩史社長
立山連峰の自然は圧巻
70年に大阪府吹田市で生まれました。その後大学・就職で東京、仙台を経て、富山にたどり着くのに28年かかります。全く知らない土地でのスタートでしたが「温かい人」「おいしいご飯」「素晴らしい自然環境」のなかで染色加工を学び、プライベートでは地元の女性と結婚。今では4人の子供の父親にもなりました。全て富山に感謝!です。
富山の名所・お薦めは、何と言っても自然。県内どこからでも見ることができる立山連峰は圧巻です。特に海越しに3000㍍級の山々が見えるのは地球上でも富山とアラスカだけらしい。次にチューリップ。4月後半から砺波市で開催される「チューリップフェア」は650種250万本も見ごたえがあります。食べ物ではブリ、白エビ、ホタルイカなどが有名ですが、お薦めは「庄川アユ」。
北陸という大きな合繊産地の中にある富山は、他2県と比べると大きくありませんが経編中心の技術力と提案力は随一です。
当社は現在、富山の素晴らしい自然、活動(暮らし)、人にスポットを当てた地域ブランド「タテヤマ・ワウ」を展開中です。伝える人、支える人、訪れる人のそれぞれの視点から富山の素晴らしさを伝え、当社製品を溶け込ませていきます。商品開発の想定シーンは山、農業、温泉、里山、川、海、子供と様々です。いろいろな機会を得て紹介していきたいと思います。
■福井で創業したアイジーエー 五十嵐昭順社長
福井は社長が一番多い
新幹線開業で北陸観光が大いに盛り上がってます。当社もこの盛り上がりを「アクシーズファム」の売り上げにつなげようと、3月中旬に福井で北陸地区の決起集会を行い、おかげさまで北陸3店の売り上げが上がっています。
当社創業地は福井・武生(現越前市)。私も武生に18歳まで住んでいました。眼鏡の産地・鯖江と近く、子供の頃は親が眼鏡工場を運営している同級生が多かったです。福井は社長が一番多い県なんて言われてますよ。
ただ、私は街を出たいという願望が強かったため高校生までの記憶がすっぽりないんです。それが変わったのが米国留学。外国では自分が何者かを話さないと理解してもらえませんから、出身地を調べましたねえ。日本に帰ってきてからも、社業で福井に訪れると優しい人たちに受け入れてもらい感謝しています。福井に関心を持ったのは「大人になってから」と話して笑ってもらっていますがね。
今は福井の良さがよく分かります。米や魚はおいしいし、豊かな自然があり、住みやすいし、共働き率が高いとも。足りないのは存在感。福井の企業幹部が集まる「考福会」に参加していますが、会合では「これからはアピール力だ!」という話に必ず落ち着きます。
今後の新幹線の福井延伸には大いに期待しています。福井、石川、富山の各都市がまとまって、北陸全体をアピールしていけばさらに盛り上がるはず。私はこれから福井に行くには、必ず北陸新幹線を使って、北陸全体に貢献しますよ!
■金沢でセレクトショップを運営する桜グループ 西野浩平社長
オレが金沢を盛り上げる
金沢で生まれ育ち、37年。今も金沢を拠点にセレクトショップ「ヴァニラ金沢」などを運営、東京と行き来する毎日を送っています。
ずっと住んでいて魅力だなと感じるのは、まず地形。中心市街地は山に近く、川に囲まれていて高低差があります。自然と共存した風情ある街並みに引き付けられます。
飯がおいしいのも、冬にがっつり雪が降る地形だからこそ。雪解け水が時間をかけて大地のミネラルを吸収し、田んぼに流れる、そんな水を使った料理やお米は当然、おいしい。こっちの回転ずしは東京の高級店と同じぐらいおいしいし、連れがやっている「花もみじ」の刺身もお薦め。
北陸新幹線が開業して、兼六園や金沢21世紀美術館といった観光地や「ノドグロ」をおいてある飲食店を中心に、街がとてもにぎわっていることを肌で感じています。でも、ブームは必ず終わる。これを機に金沢の新しい良さを生みだして、また行きたいと思ってもらえるために何をするかが大切だと思います。
新幹線が開業した3月14日、ヴァニラ金沢の地下をライブハウス化しました。セレクトショップとライブハウス、つまりファッションと音楽がハードでつながっている店は珍しいのでは。バンド活動をしていたり、Xジャパンのワールドツアーにスタイリストとして同行していた経験を生かし、〝オレにしかできない〟ことで地元を盛り上げたい。音楽イベントのほか、アイドルや芸人にもステージを提供し、街の活性化に貢献していきたい。
■福井の機屋、第一織物 吉岡隆治社長
隠れた逸品がいっぱい
北陸といえば昨年、共同開発プロジェクト「ホライゾンタルコープ」を立ち上げました。福井、石川の機屋3社が連携し、海外と差別化できる商品を作ろうというものです。
そもそも北陸産地と聞くと、ダウンウエアの側地に使用される高密度織物を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。確かにこの10年、スポーツやカジュアルウエアで生産量を大きく伸ばしましたが、かつてはレディスアパレル向けに強い産地だったんですよ。
それを支えていたのが、糸加工の技術。北陸産地には、世界に冠たる技術力を持った糸加工業者が集積しています。この10年は縮小の一途をたどっていますが、海外と差別化できる〝高感性・ローテク〟な物作りは、糸加工と織りの技術が融合してこそ。ホライゾンタルコープは、北陸産地の技術にもう一度光をあて、他国が10年、20年では追いつけないようなテキスタイルを開発中です。
当社が本社を置く福井には、産地と同様、あまり知られていない逸品がたくさんあります。お薦めは「けんぞう蕎麦(そば)」。めんが少し太めで色黒い越前そばは、そばの香りが高く、とてもおいしいです。大根おろしをたっぷりかけていただきます。
谷口屋の「竹田の油揚げ」も名物ですね。厚さ5センチ、一辺が12センチほどはありそうな四角い油揚げに、特製のたれと大根おろしをかけてかぶりつくんです。両店とも駅から遠く、立地は決してよくないのですが、店の前はいつも長蛇の列。県外から足を運ぶ方も多いんですよ。