世界的な若手ファッションデザイナーの育成・支援プログラム「LVMHプライズ」で25年、日本のデザイナー大月壮士がグランプリを受賞した。「ザラ」との協業も発表され、銀座店のポップアップコーナーは大盛況。日本の若手デザイナーがグローバルマーケットに接続した出来事として注目を集めた。その背景には、10年代の東京で確かに存在していたクリエイションのムーブメントがあった。
(明治大学商学部特任講師 高野公三子)
揺れ動く環境で
10年代前半の東京は、ファストファッションの拡大やリーマンショック、東日本大震災などを背景に、ファッションを取り巻く環境そのものが揺れ動いていた。服を学び、つくり、発表する――そのプロセスをどこで、どのように成立させるのか。若い世代の多くが明確な答えを持たないまま、模索を続けていた。既存の教育制度やブランドの枠組みでは受け止めきれない衝動や実験が、東京の各所で静かに立ち上がり始めていた。
そうした空気の中で現れたのが、「東京ニューエイジ」と呼ばれる動きである。
