東洋紡は、8月に発表した生体情報計測ウエアに適した機能性素材「COCOMI」(心美)で、寝たきりゼロ社会の実現に向けた研究開発を進めている。立命館大学のほか、電子機器メーカー、住宅メーカーなどが参画する産学連携プロジェクトの一環。このほど研究拠点の立命館大学で会見を開き、事業概要や進捗(しんちょく)を報告したほか、スマートウエアの性能デモストレーションを行った。
文部科学省が推進する10年後の社会を見据えた研究開発に対する支援プロジェクト「革新的イノベーション創出プログラム拠点」事業で、立命館大学は2月、西日本の私立大学として初めて同事業に採択された。東洋紡は、同校、オムロンヘルスケアと協業して、着るだけで各生体信号を計測するスマートウエアの実用化を進めている。
同校が音響機器メーカー、住宅メーカーなどと開発する空間シェアリング技術や、運動誘導・継続システムなど他の技術と総合的に活用、運動の日常化をサポートする。今後は社会実装実験や製品化を進めながら、22年をめどに、健康寿命を伸ばし寝たきりゼロの実現を目指す。
会見では、スマートウエアを着用してモデルを走らせ、心電図を計測した。素材開発時より配電を3分の1以下にまで細線化しており、中量産にも対応できるという。現在は心電図のほか、発汗の有無や体温なども計測可能で、血圧や発汗量の計測、洗濯耐久性への対応に向けた開発を進めている。
同事業の進捗は、12月1日にグランフロント大阪で開催されるアクティブ・フォー・オール拠点シンポジウムで発表する。