福井の豊島繊維で火災 取引各社、今後の対応苦慮

2019/06/21 17:00 更新


 福井県永平寺町の豊島繊維で20日、火災があった。同社はスポーツやアウドドア向けの超軽量・高密度織物などの生産でトップクラスの技術を持つ有力企業。

 永平寺町消防本部によると110番通報があったのは20日午後2時6分。工場6棟のうちの3棟と事務所の計4棟が全焼し、それ以外の延焼や出火原因などは調査中。同日午後9時16分に鎮火し、敷地内で4人の遺体が見つかった。

 豊島繊維はスポーツ、アウトドア向けの超軽量・高密度タフタやニット生地の高付加価値品で定評がある。素材メーカーや商社などとの取り組みが強く、同社を頼りにする企業が多いだけに代替品への切り替えが可能かなど様々な影響が出そうだ。

 今後の影響などについて三井物産アイ・ファッションは、「間接的だが『パーテックス』の主要取引先の一つ。特に高付加価値品の生産を委託している。状況確認中だが、生産のピークは過ぎたものの今後も相当な量の出荷を控える。他の代替生産先を日本と中国で検討するが、非常に質の高い生地を作っていたため簡単ではない。状況は深刻だ」とする。

 旭化成アドバンスはスポーツウェア用織物の主要生産委託先の一つ。状況確認中で生地供給への影響や今後の対応は未定。豊通ファッションエスクプレスは透湿防水素材「ゼラノッツ」などの生機を豊島繊維から仕入れている。影響を最小限に抑えるべく、他社への切り替えなど対応策を検討する。

 東洋紡STCは、「ダウン側地に使われるナイロン高密度織物の製造を委託し、『シルファイン』の主力生産先。被害状況や出荷への影響を調査中でわかり次第、対策を検討する」。東レは大きな取引はなく、影響は軽微だという。



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