米小売業10月売上高 消費回復、前年同月比3.1%増

2019/11/21 06:27 更新


 【サンフランシスコ=立野啓子通信員】米商務省によると、10月の米小売業売上高は5265億4000万ドルで前月比0.3%増(9月は0.3%減)、前年同月比3.1%増となった。調査は300万店の小売店と食品サービスの中から無作為に選んだ4700店が対象。9月は前月比0.3%減だったECの売上高は668億1900万ドルで前月比0.9%増、前年比14.3%増と回復。ホリデーセールを前に、減速が懸念されていた消費は堅調な動きとなった。

 衣料品・アクセサリーは秋物衣料が8~9月に好調なスタートを切ったが、10月は前年同月比2.7%減となった。季節はずれの暑さなど天候不順が影響した。カリフォルニアでは高温と強風で山火事が発生、停電が続き日常生活に支障をきたしたこともマイナス要因となった。

 GMS(総合小売業)は前年同月比0.9%増、百貨店は6.9%減・健康用品とパーソナルケアは1.9%増、家具住宅関連は0.9%増となった。

 1~10月の10カ月間の小売業売上高は5兆1019億5800万ドル(前年同期比3.4%増)、ECは6107億9600万ドル(12.7%増)、衣料品・アクセサリーは2088億7000万ドル(0.5%減)、GMSは5692億8500万ドル(1.6%増)、百貨店は1035億6000万ドル(4.9%減)、健康用品パーソナルケアは2931億9200万ドル(3.5%増)、家具住宅関連952億3800万ドル(0.1%増)となった。

 ECの台頭で小売市場は大きく変化し、今年は約7600店が閉鎖し、過去24年間で最も多いという。調査会社によるとアパレルは特に店舗が過剰で閉鎖も多い。米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したフォーエバー21や、04年には3900店あったシアーズとKマートがわずか182店を残すだけになった例などがある。

 繁栄した「モール時代」の終焉(しゅうえん)ともいわれる。アパレルの35%がオンラインで販売されるといわれる中、ホリデーセールを前に、モールの空室でオンライン発のメーカーが期間限定店を開設するといった動きも見られる。

 一方、米調査会社ニールセンによる10月の消費者信頼度指数は125.9で0.4ポイント縮小、ビジネスと雇用の現況は172.3で1.7ポイント上昇、賃金・ビジネス・雇用市場の短期見通しは94.9で1.9ポイント縮小した。全米産業審議会(コンファレンスボード)は、「10月の信頼度指数は9月の減速に続き前月並み。現況は改善されたが、先行き見通しはビジネスの状況と雇用の見込みを懸念してか微減となった。しかし指数は依然高く、ホリデーセールの消費が抑えられる兆候はないだろう」とする。



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