OEM・ODMのバニラモードがDtoCブランド 産地連携で素材からオリジナル

2024/07/26 10:59 更新


 OEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)企業のバニラモード(岐阜市、栗山マキ社長)は、ユニセックスのDtoC(消費者直販)アパレルブランド「ヴァンガ」を立ち上げた。素材からオリジナルで開発し、性別や年齢、体形にとらわれないウェアを販売する。

(森田雄也)

手作業ふんだんに

 ブランドには職人の高齢化や昔ながらの生産機材の減少などで、「今しかできない技術がある」とし、「デザイナーやブランドの意図をくみ、形にすることができる職人さんたちがフォーカスされたら」という願いを込めた。「携わる人が全て喜んでくれるような服作りをしたい(栗山社長)と強調する。デザインを栗山社長が担い、ディレクションや広報活動を社長の娘で、営業企画の栗山裕衣さんが担う。

栗山社長(右)と娘の裕衣さん

 ファーストシーズンの24年秋冬物は、13アイテムを企画する。日本の伝統技法である蒔絵(まきえ)、螺鈿(らでん)からインスピレーションを得て、漆黒の中に、落ち着きのある光りを放つ金や銀、貝殻や真珠の輝きを表現した。

 イチ押しはオリジナルのカットジャカードを使ったアイテム。生地にはクジャクの羽模様が織り込まれていて、その上に網目模様に織られたジャカードをカットすることで、フリンジのようなダイナミックな動きが出る。ゴールドやシルバーのラメ糸がきらびやかだ。カットは風合いを出すため縫製後に生地の流れを見ながら、職人が1枚1枚手作業で行う。生地は綿50%・アクリル32%・ポリエステル11%・ナイロン7%。

オリジナルのカットジャカードを使ったコート

 自社ECサイトでは協力してもらった岐阜県羽島市のテキスタイルマテリアルセンターのほか、イワゼンや万平、水口、横貴繊維工業など素材開発に関わった企業を了承のもとに掲載している。「お世話になった人たちを紹介したかった」とする。

 コート、ケープ、パンツ、〝スカートドレス〟の4型。コートは着丈が129センチと長く、性別問わずに着用できるサイズ感。スカートドレスはスカート部分の裾のリボンでボリュームや丈を自由に調整できる。ドレスとしても着用できるよう内側に肩ひもを付けていて、結び合わせ方で、シンメトリーやアシンメトリーのドレスになる。コート税抜き13万5000円、スカートドレス12万9000円、ケープとパンツそれぞれ9万8000円。

自社ECで販売

 「shodo」シリーズは中国の漢詩を顔料と筆でドレスに手書きしたシリーズ。書くのは栗山社長で、書道歴30年で師範に近い腕前を誇る。コート、ドレス、スリットドレスの3型。8万8000~11万5000円。

「shodo」シリーズは筆で漢詩を手書きしている

 25年春夏は、イージーケアのオリジナル生地を開発し、ワンピースやセットアップ、Tシャツなどを企画する予定。

 物作りはグループ縫製工場のストロベリーファクトリーを中心に行う。ニット製品などアイテムによっては協力工場に生産依頼していく。

 販売は自社ECで行い、基本的にはバイオーダーで生産する。合同展示会などに出展し、卸先を開拓していく計画もある。

 今後は知名度を高めるため、インスタグラムでアピールしていくほか、衣装提供などを検討する。



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