産地の加工場や服地コンバーターの廃業や吸収合併などが相次いでいる。国内アパレル産業の不振が続き、再びコスト優先の流れが到来している。一方で、期待される輸出もどこから手をつけていいのかわからない状況だ。中小企業では開発や仕組み作りに投資できる資金も限られる。人材確保も難しいなど、中小零細のテキスタイル企業の悩みは深い。
もはや「1社の力だけでは市場に対応しきれなくなっている」(京都の捺染工場)。同業者が競争相手という時代ではなくなった。コンバーターと産地の関係も、下請けという意識では、自らが生き残り、貴重な技術や開発力を維持・発展させることが難しくなっている。
時代は大きく動いている。狭い枠の中で技術の優位性に固執しているのではなく、それを積極的に消費者や世界に発信していく仕組み作りが求められている。1社の力ではなく、メーカー同士の連携や「メーカーとコンバーターの共同の意識が、今後の可能性につながってくる」(服地コンバーター)。そこでは新たな人材の登用も欠かせない。新市場開拓のための変革の勇気が求められている。(英)