《視点》にぎわいの裏で

2019/11/06 06:23 更新


 国内外からの観光客でにぎわう東京・浅草。特にここ数年は、外国人観光客の急増により、にぎわいを増している。少し前までは夜が早い街というイメージだったが、最近では夜遅くまで開いている店も増えてきた。

 観光客を狙った新しい宿泊施設や飲食店が次々と開業する一方、ガイドブックに必ず載っているような店や施設が次々となくなっている。今年に入ってからも、江戸時代から続く銭湯の「蛇骨湯」、大正時代に創業した「入山せんべい」、戦後開業した喫茶店の「アンジェラス」が閉店した。建物の老朽化や再開発など理由はそれぞれのようだが、変わらずそこにあると思っていたものがなくなるのは、何ともさみしい。歴史ある店がなくなるのは観光地としての魅力の減退にもつながる。

 有名店だから、老舗だからといって、この先もずっと続くわけではない。メディアは新しいものに飛びつきがちだが、変わらずに長く続くものを尊敬し、光を当てることも役割なのではないかと自省した。

(壁)



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