《視点》ジャイアントキリング

2021/01/21 06:23 更新


 年末年始のトップ取材で最も興奮したのは、オン・ジャパン代表の駒田博紀さんの話だった。大手ブランドが席巻するランニングシューズ市場で、「オン」をわずか7年で、多額の宣伝予算を投じることなく大手ブランドと肩を並べるポジションにまで成長させたストーリーだ。

 駒田さんがひたすら続けたのは、自らトライアスロンなどの競技に取り組み、ブログやSNSでトレーニングや大会の体験記などをつづること。すると、徐々に駒田さんの競技仲間やオンのファンが増え、取引先開拓やメディア掲載をも助けてくれるようになったという。「オンフレンズ」というハッシュタグを付けたファンによる自主的なインスタグラムの投稿数は3万件に上り、ブランドが作り込んだ動画やビジュアルの拡散数を上回る。

 自ら競技者となり、顔と名前を出して発信する――徒手空拳で見いだしたこの手法が、SNS時代に見事はまったと言えるだろう。これからは、こんな「ジャイアントキリング」がもっと生まれるかもしれない。

(潤)



この記事に関連する記事