《視点》コロナ禍を画期にして

2021/01/26 06:23 更新


 コロナ禍による未曽有の事態の中で、ファッション業界の潮目が変わる可能性がある。業界の積年の課題であった在庫問題を解決する契機を迎えている。

 コロナ感染者の拡大で、多くのアパレル企業が昨夏のセールで現金化を急いだ。続く20年秋冬には各社とも仕入れを絞り込んだが、21年春夏に向けても慎重な姿勢を崩していない。これらを背景に今、業界全体で大胆な在庫抑制が進展している。

 絞り込まれた在庫で、いかに利益を稼ぐかが焦眉の課題であり、そこで発揮されるソリューションはアフターコロナにおいても有効となるだろう。カギとなるのは、ツール(道具)としてのDX(デジタルトランスフォーメーション)と、ファッションの中核であるクリエイション。

 ファッション業界は〝量〟の拡大が見込めない時代に入っている。個性際立つ商品による、絞り込まれた在庫で、製造原価率を高めて、高い正価販売率で粗利を稼ぐ。そして、消費者に対して「生活の質の向上」を提供することが、これからのファッション産業の使命だ。コロナ禍を乗り越えて、未来に向けた画期にすることが必要だ。

(民)



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