「奥様、秘密の物件です! 出たばっかり!」と、なんだかテレビショッピングばりの大仰な電話がかかってきた。転居を考えて、ここのところいくつかコンタクトを取った不動産屋からだった。口頭で間取りなどをまくしたてるので、後日メールを送ってもらうと、何カ月も前からネットで流通しているイマイチ物件で、なんだかなと思ってしまった。
昔なら、そんなあおり文句は有効だったかもしれない。けれど、今はほとんどの物件がネット上で情報公開されている。よほど地場に強い不動産屋の隠し玉でもなければ、そんな掘り出し物は無いのである。オバサン客だと見くびったのか、マインドが昭和な営業マンだったのか。うさん臭い印象だけが残った。
あらゆるビジネスで、ネット上での情報発信が販促のベースとなりつつある。その結果、ある側面では売り手と買い手の情報量がイコール、または買い手が上回る場合もある。そんなとき、いかに有益なアドバイスや提案、サポートができるかが、プロとしての腕の見せどころになるのだろう。デジタル時代のリアルの接客は、より専門性やパーソナルな対応が求められていきそうだ。
(維)