「見ているだけで、わくわくするんですよ。皆さん本当に楽しそうで」とあるニットメーカー。視線の先は、インスタグラム。インフルエンサーが同社で作ったオリジナルブランドを着て、ライブ配信していた。
心躍る理由は、その熱量の大きさだ。インフルエンサーは、立ったり座ったり、生地を引っ張ったりと様々な方法で商品の魅力を伝えようとする。フォロワーからは「後ろはどうなっていますか」「洗濯できますか」「かわいい!」と次々にコメントが寄せられる。インフルエンサーはそのコメントを拾って、丁寧に答えていく。活発なやりとりに、先の社員は「店に行けなくても、こんなに楽しい買い物体験ができる」とSNSを通じたコミュニケーションに可能性を感じたという。
完全受注生産で、予約期間はたった1週間だが、前回は1000枚売れた。同社の最大取引先の1型分に迫る数だ。商品が届くとフォロワーが報告し合い、仲間意識が醸成される。コロナ下で一層「同じ物に興味を持ち、会話できる楽しさが求められている」。
服への関心は薄れても、服を買う動機になるものはある。ヒット連発のアニメ協業商品もそうだが、ファンコミュニティーは強い。
(侑)