昨今、新卒者の人気業界に経営コンサルタントが挙げられる。クライアント企業の状況を調査・分析し、問題を抽出して仮説・検証し、最適なプランを立案する〝憧れ〟の職種だ。
先日、外資系コンサルタント出身の社長から「課題解決に向けた最適な解決策を、経営施策にそのまま持ち込んでも組織改革は達成できない」との話を聞いた。「まずは社員の納得が無ければ企業は変わらない。〝社長業〟に就いたばかりのころは苦労した」という。
数値的な指標や理屈だけでは人は動かない。経営を評価するコンサルと、実際の経営に責任を持つ社長との大きな違いはそこにある。「しかし、私は人の心をつかんで企業をまとめ上げる〝社長業〟に対する憧れがあった。だから自らの使命を果たすことに懸命になれた」と語った。
若者へのアドバイスを聞くと「〝きつい仕事〟〝無理そうな仕事〟を選んで欲しい。そこで鍛えられた人は、必ず成長する。結果的にうまくいかなくても、仕事を通じた〝自信〟が地層のように積み重なって、困難にも動じなくなる」と語る、その姿は社長のたたずまいだった。
(民)