《視点》断捨離

2021/05/25 06:23 更新


 好調なレディスブランドのデザイナーの取材で、デザインが思い浮かばなかったり、うまくいかないときはないのかと聞いたことがある。答えは「そういう時はもうやらない。やめて帰っちゃう。締め切りまでに出来ればいいし、無理に考えてもいいアイデアは出てこないから」だった。

 他の業種と違って、服のデザインを考えるのは0から1を生み出す作業だけに、煮詰まることも何度もあるのだろうと想像する。最終的に締め切りに間に合わせ、新しいデザインを考えつくのは本当にすごいことだ。だからなのか、デザイナーの思いを聞いた上で購入した服はなんだか愛着が湧く。

 やめて帰る、までいかなくてもどんなことも切り替えが重要だ。継続することも大事だが、潔く切り替えることで良い方向に向かうことも多いだろう。進まない部屋の片付けやクローゼットに入りきらなくなった服は、収納することを諦めて断捨離した方が良さそうだ。一度目の緊急事態宣言下では断捨離した人が多かったと聞く。だからこそこの春は購買意欲が上がって買い物に出かける姿をよく見た。

 断捨離のメリットは、その過程で大事なものとそうではないものを見極められること。物事も服も、どうにもならないときこそ手放すことで、大事なものを見つけられて良い結果につながるのかもしれない。

(萌)



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