今年4月の新卒採用募集に「これまでの7、8倍の応募があり、優秀な人材が採れた」と、あるレディスアパレル企業。新型コロナウイルスの影響などで、全体的な採用の環境は厳しい。だが、新たな事業構築や新規出店を強める動きもあり、「優秀な人材を確保するチャンス」ともいう。
ITの発達やECが拡大しても、それらの技術に加え商品企画や営業、小売店の店頭などを支えるのはやはり人だ。環境が大きく変化する中で、ベテランとは違った感性やデジタルに長けた若い人材は企業の発展には重要。ECの強化でも、店頭スタッフによるコーディネートのライブ配信やSNSでの情報発信などで、客とのコミュニケーションや売り上げにつなげる動きが増えている。
また、ある地方専門店は新人が入ってもベテランとの壁や上下関係などで悩むケースがあったが、接客技術はベテランから、SNSなどの活用や新しいイベント提案などは若い社員から受けるなど、店頭の活性化や雰囲気も良くなっているという。ブランドの廃止やショップの退店が目立ち、「優秀な人材が他産業に流れる」と危惧する声もある。効率化も大切だが、業界の活性化や未来のためにも若い人材の確保、採用は欠かせない。
(伸)