《視点》前払い制度と契約書

2021/09/24 06:23 更新


 数年前に小欄で書いた、縫製工場への加工賃踏み倒し問題。ある工場は「サイズ別ハンガーで納品しなかったことで、型崩れした」とブランドからクレームが入り、加工賃を踏み倒されそうになった。

 あれから数年、いまだ加工賃を巡って工場と当該ブランドで、もめている話をしばしば耳にするという。業界関係者ならピンと来る人も多いかもしれない。

 縫製業界としては、前払い制度導入を訴えていくことは出来ないだろうか。事前に数量と1枚当たりの縫製加工賃を弾き出せば、支払い総額はおよそ算出可能だ。全額前払いはブランドに負担感があれば、まずは7割、信頼関係が築けてくれば半分と条件は折り合っていけばいい。ブランドやアパレルに対して、力関係が弱くなりがちな縫製業の救済措置にもなるはずだ。

 さらにそもそも論でいうならば、契約書を作って取引すべきである。縫製工場は様々な素材や付属が集まり、また裁断、縫製、プレスなど人の手による工程が多い。ある意味、ミスが起こりやすい業種とも言える。

 工場から発注者に対して、契約書を通じて、その点の理解を求めていく姿勢も不可欠だろう。

(森)



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