あるテキスタイルメーカーを取材した際、最近ハリ感がある明るい色柄のテキスタイルや、プリント物が動いているという話を聞いた。羽織り物など外出着に適した素材らしく、ワクチン接種が進み感染の第5波が落ち着きつつあるなか、いよいよ外出や旅行が本格化することを見越したものだ。
コロナ禍を振り返ると、社会情勢と繊維ファッション産業の密接な結びつきを改めて感じることが多かった。家ナカ消費の広がりでワンマイルウェア向けのニット素材や、インテリア関連の動きが良く、アウトドアやゴルフ関連の好調にもコロナの影響があった。「飲み会ができないからコミュニケーション手段としてゴルフを再び始めた」という社長さんも多い。
ファッション衣料用途のテキスタイルも前述したようにようやく動き始めそうだが、テレワークの定着や外出時のマスク着用などで生活様式はすでに大きく変化しており、以前のようには戻らないかもしれない。ただ、変化はチャンス。社会情勢をつぶさに観察することで、新たなトレンドのヒントが見えてくるだろう。
(騎)