コロナ禍で対面の機会が減り、様々な業種でECが広がった。ウェブを使った商談や会議も急速に導入が進んだ。こうしたIT技術はコロナ禍以前から存在していたが、便利さを実感する人が増え、おそらくコロナ禍が終息した後も定着するのだろう。
食わず嫌いと似たもので、知っているけど使いたいとは思わなかったものが思いの外、使ってみれば良いものだと気付いたといったところか。デジタル関連の技術やインフラの導入は費用がかかるので一概には言えないが、先入観や思い込みで導入を決めかねる経営者は多い。周囲に広がると取り残されまいと、尻に火がついたように検討を始める姿もよく見られる。その場合、後塵(こうじん)を拝するのは仕方あるまい。
ECの後発でも急速に成長した企業を取材すると、担当者のみならず全社的に取り組みへの本気度が高いことがうかがえる。転換への発想は個からでも、実効には共感と納得で結ばれた総合力が問われるのだろう。
日を追うごとに話題を増すSDGs(持続可能な開発目標)にも似た空気を覚える。
(樹)