《視点》光合成はすごい

2021/12/28 06:23 更新


 コロナ下のステイホームをきっかけに自炊の機会が増え、食材を買い出しする際には豆苗を買うようになった。使いやすさや栄養バランスがいいこともあるが、2回食べられるお得感も理由だ。カットした根の部分を水につけて窓辺に置いておけば、数日で再び食べられる背丈に成長してくれる。

 当たり前すぎて見過ごしてしまうが、つくづく植物の光合成はすごい。生命に不可欠な酸素だけでなく、人が口にする肉や魚も食物連鎖をたどれば植物に行き着くし、加工食品の類も植物がなければ作れない。文明の近代化を支えた石炭も太古の植物が堆積して出来たとされている。

 今日の繊維ファッションではサステイナブル(持続可能な)が必須となり、素材の分野では植物由来の再生繊維や半合成繊維、バイオマス原料を使った合繊が注目されている。いずれも食物同様、光合成のたまものである。

 最新の科学では、人工光合成やCO2(二酸化炭素)を原料に化学品を製造する技術が注目されているが、実用化まではまだまだ遠い。

 植物たちが高い温度も高い圧力も必要とせずに日々行っている光合成に比べれば人間の技術は足元にも及ばない。

(恵)



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