ほぼ毎月、メンズカジュアル店頭で商品動向を取材している。「少し変わったな」と思うのが、季節感をあまり問わず売れていく商品もあること。例えばスウェットなら秋冬はしっかり裏毛のある方が暖かいのだが、若年層はそうした点をあまり気にせず購入する。
デザインが気に入れば関係ないのかなと思ったが、それだけでもなさそうだ。ジーンズやニットも「素材の選び方や着方次第で3シーズン長く楽しめますよ」と提案すると、さらに興味を示してくれるそうだ。消費者の意識が、長く使える良い物を求めるようになっている表れだと思う。
「学生のサステイナビリティー(持続可能性)に対する意識は驚くほど高い」と話すのは、SDGs(持続可能な開発目標)を推進する服飾専門学校。だが中には、「それありきで課題を制作すればよし、と考えてしまう学生もいる」ので、「クリエイションが第一義だという点も教えている」という。
ファッション業界は、この1年でSDGsへの関心が大きく高まり、様々な動きが広がった。「コストや時間がかかる割には消費者に浸透しない」という声もあるが、消費に対する意識が着実に変わってきていると思う。クリエイションとの両立も大切にし、産業の発展、魅力向上を期待したい。
(畔)