女性の活躍をテーマに取材をする際には、どうしても、「家事や育児との両立はどのように」と尋ねがちだ。その前提には、家事や育児は女性がするもの、とのいわゆるアンコンシャス(無意識の)バイアスがある。家庭を持つ男性の管理職や経営者に、そんな風に尋ねることはまれだろう。
こうした問いに最近、「両立はしていないし、できないんです」とはっきり答える女性を、自身の取材も含め見かけるようになった。家庭での役割分担が旧来型と違うのも、外部のサポートを得ることも、ごく普通のこと。〝これは母親がすべき〟と世間が思うタスクを全てこなし、仕事もパーフェクトに遂行するのは超人でもない限り無理なのだ。
求められるのも、できないことに罪悪感を持つのも女性だけなのは理不尽すぎる。そう気付き、また、正直にその思いを表に出しても肩身が狭くならない世の中に、変わりつつある表れかと思う。
両立でなく、どこに重点を置き、どんなバランスを良しとするか。それは家庭ごとに異なるし、家庭内でも意見は割れるかもしれない。ただ少なくとも世間や個人の認識が変わるなか、会社だけが旧来型だと、人材の流失を生む恐れがある。様々な選択を可能にする環境整備が急がれると感じる。
(維)