OEMという言葉を正しく理解しているだろうか。Original Equipment Manufacturingの略で、本紙では「相手先ブランドによる生産」という送り(説明)を付けている。ファッション業界では、アパレルメーカーや小売業が、他社製品の製造を請け負う企業にデザイン、納期、価格、数量などを指示し、材料の調達も含めて製造を依頼することをいう。
近年は、製造側が企画・デザインまで担うケースが増えている。これをODMと言ってOEMと区別されるが、実際にはOEMの名目でODMを請け負っているケースをよく聞く。
OEMを主力とするあるニット工場は「毎月のように新しい編地やサンプルを作って提案しないと仕事がとれない」と嘆く。新作の開発は楽しくも大変であり、試編みには当然コストもかかる。受注を得られても少量で「パターン料金がもっと高くないと割に合わない」という声もある。
最近はインフルエンサーなど、デザインも物作りの知識もない個人が工場に直接注文するケースが増えてきた。価格が通りやすく、中には目を見張るような数量の注文もあり「ありがたい」が、そこにかかる労力はさらに大きい。コンサルタント料を設けるなど、付加価値をきちんとお金に換える仕組みが模索されている。
(侑)