《視点》消費のフック

2022/06/28 06:23 更新


 「かつての差し色がトレンドカラーとして定番色と変わらない勢いで売れる。都心とは違う売れ方だった地方でも、色については同じように動いている」。あるカジュアルウェアメーカーの担当者が振り返る。

 色は人の気分や行動まで変える大きな力を秘めていると思う。コロナ禍で強いられた我慢の反動か、色で自分を前向きにしたいと考える人が増えたのかもしれない。

 先日取材した郊外のあるセレクトショップが売り上げを伸ばし続けていた。ECを含め顧客が支えてくれた結果なのだが、顧客づくりについていろいろと感心させられた。その店は「売れそうな商品だからといって簡単に売ってしまってはダメ。都心でできないことを意識し、ハードルを上げるべき」という。どう見せるかや、どんなアイテムとのコーディネートを薦めるのか、またはとっておきの会話を用意するなど、自店がきちんとフックとなるような提案を常に心掛けていた。即完売が予想される商品も、ブランド側の公式発売日当日ではなく、後からマイペースで提案する。こうした積み重ねが再来店、顧客を生み出す。

 色といい、顧客づくりといい、いろいろと考え、改めて気付かされることが多かった。消費というものはやはり奥深くて面白い。

(畔)



この記事に関連する記事