《視点》価格の変化

2022/10/27 06:23 更新


 人件費や輸送費、原材料などのコストが上がり、製品価格や光熱費が上昇傾向にある。長らく低賃金とデフレに慣らされた取引先や消費者に値上げが受け入れられるのかと悩むも、背に腹は変えられぬと踏み切った経営者は多い。その際、購買意欲を持たせるために、従来商品に付加価値を付けた例も少なくなかった。

 価格と価値のバランスが大事だとしながらも、多くは低価格に価値を合わせてコスト削減を進めてきた。今はその反動が表面化しているようにも思える。価値の基準は多様だが、低価格を売りにすれば、利益確保のために大量生産への道を歩む。それは一つ間違えば多くの売れ残りを生み、無駄となって損失となるばかりか「もったいない」と社会問題にもなる。

 効率化でコスト抑制を進めてきた企業も多いだろう。しかし手間も価値要因の一つである。安価に価値を感じることが少なく、環境問題を軽視しないZ世代の台頭もある。今はコストから離れて価格と価値を見直す好機なのかもしれない。

(樹)



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