《視点》新富裕層

2023/02/03 06:23 更新


 宝飾市場でもここ数年、新富裕層向けの施策が活発化している。10年ほど前までは、催事や外商顧客の高齢化をどう克服するかへの課題が大きかったが、今はターゲットも打ち手も定まってきた。

 メインとなるのは、ITベンチャーなどの30~40代の若手起業家をはじめとする新しい高所得層。趣味嗜好(しこう)が明確な分、マッチする商品やブランドは比較的把握しやすい。ただし、忙しいのでスピーディーな対応が求められる。自ら情報を得る能力が高いため、希少性の高いダイヤモンドルースといった資産性が感じられる品への反応も良いなどだ。

 いで立ちも一昔前とは様変わりした。担当者いわく「男性ならブランド物のパーカに短パン、スニーカーといった方も多い」とのこと。「クラシコイタリアに身を包んだ感じではないんですね?」と尋ねると「いつの時代の話ですか」とあきれられた。

 ファッションやジュエリーにおいて、ブランドではまず海外ラグジュアリーに強みがある点は想像がつく。しかし、富裕層とはいえ、サブカルや推し活的な消費も経てきた世代。思わぬヒットポイントが見つかることも多そうだ。既成概念にとらわれない企画や提案の力が試される。

(維)



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