春は人事異動の季節。大手企業となると数百人単位の昇格や異動が発表されるので、繊研新聞を含めて各メディアではそれを人事情報として報じている。新トップの就任なら写真や経歴を入れた社長交代記事として、部課長以上なら人事欄に紹介するのが習わしだ。
繊研では取材記者が担当企業の人事情報を報じている。面白いのは人事を見ると、各社の考えや戦略が透けて見えてくることだ。新設したばかりの部署に人員を多く配置したり、従来部署の人員を減らしたり。今後、その企業が何を強化し、どこから撤退するのか。人事情報から何となく見えてくるわけだ。
いつも残念に感じるのは、社長はもちろん、部課長以上の人事に女性の名前が少ないこと。これは規模が大きく、歴史のある企業ほどこの傾向が強い。「多様性ある組織のほうが、イノベーションが生まれやすい」とはよく知られた話だが、なぜこの会社では実践しないのだろうか…。人事欄用の記事を黙々と書きながら、いつもそのようなことを思う。
(潤)