《視点》過去と未来と

2023/09/29 06:23 更新


 岩手県陸前高田市のオートキャンプ場「モビリア」は東日本大震災以降、仮設住宅が10年以上設置されていた。9月23日、その跡地はスノーピークが運営する新たなキャンプ場として生まれ変わった。元々のファンも多く、地元住民に親しまれたキャンプ場の再出発は陸前高田市にとって「悲願だった」という。

 スノーピークは新しいキャンプ場を作る際、地元住民と相互理解を深めるためのキャンプを必ず行う。今回も行政の担当者や地域住民にこの地に対するそれぞれの思いを聞いた。

 陸前高田市の地元住民に多かったのは「被災地のイメージを払拭したい」という声だったそうだ。ニュースで見た震災のイメージではなく、豊かな自然や新鮮な食材を味わって、元々この土地が持っている魅力を知ってほしいという意見が多かった。実際、岩手県は自然資源だけでなく、国内最多となる三つの世界遺産を有するなど、観光資源も豊富だ。

 オープニングを取材した記者にとって、震災は幼少期の出来事であり、改めて当時の様子を知ることは勉強になった。そして、このキャンプ場は陸前高田市の魅力を伝え、未来を見守ってほしいという前向きな思いがこもった、地元住民にとって「復興のシンボル」の意味を持つのだと思った。

(相)



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