環境に優しい行動だと理解しても、メリットがないと面倒なことをするのは難しい。自分はそうだ。フリマアプリで売却したことはあっても、店の回収ボックスに持ち込んだことはない。前者は対価が明確。物によっては高額になる。後者は対価がないケースもあるし、下取りや値引きはあっても、買いたい商品がない店にサービスされても困る。人によって考え方は様々だから、行政も企業もどうすればより多くの消費者に行動変容を促せるか、その効果的な施策に悩んでいるはず。
シキボウが音楽イベントと連携して実施した服の回収企画(9月26日付本紙)が興味深い。短期間でより多くの数量を集めた好例だ。集めた服の一部は出演アーティストの私物で、翌年のイベントTシャツに原料として使われる。服を持ち込んだ観客は「好きなアーティストと一緒になれる」ことに強く喜びを感じていた。
「環境に優しくありたい」。気持ちはあっても行動のきっかけがない。そんな人は多いだろう。「〇〇のついで」くらいのきっかけが行政や企業のアイデアとしてもっと出てくることを期待したい。
(嗣)