「障害は不便です。だけど、不幸ではありません」。乙武洋匡さんが引用したことで広く知られるヘレン・ケラーの言葉だ。
社会的にマイノリティーの人たちに対して、「かわいそうなこと」だと捉えて態度や言葉に出してしまうと、当事者を傷つけてしまう恐れがある。
先日、トランスジェンダーの人を、複数人同時に取材する機会があった。最後に「こんな真面目な話をしたのは初めて」「普段は見たドラマの話とかだから」と聞いてはっとした。
「当事者は苦しい思いを日頃から共有し合っているはず」という前提で取材を進めていた。よく考えれば、私自身も友人同士では他愛のない話ばかりだ。
否定も同情もしないニュートラルな視点を維持すること。自分の思い込みを疑うこと。記者として以前の、人として大切なことの一つであると気付いた。日頃の自分の言動を省みることから始めようと思う。
(坂)