ここ数年、昭和レトロブームが勢いを増している。SNSには20代前半の若者が純喫茶のクリームソーダや〝横丁飲み〟を楽しむ写真があふれ、小さな古い店に行列ができている光景も珍しくない。
「日本が元気だった時代への憧れなのでは」といった分析も見かけるが、先日取材したZ世代の女性インフルエンサーによれば「昭和カルチャーは今の若者には新鮮」とのこと。回顧ではなく、未知の楽しい文化として興味を持っているようだ。平成前半生まれの私も、確かにそう思う。
彼女がプロデュースする店も面白い。場所は東京・歌舞伎町のど真ん中。古いキャバレーを改装したナイトクラブの日中を利用した喫茶店だ。鏡張りの天井に真っ赤なじゅうたん。本物の建物だからこその迫力がある。
彼女は「見た目だけでなく、背景のある本物を見せたい」と話す。確かにブームに乗じた、レトロ雑貨を並べただけの張りぼて感のある居酒屋なども増えている。それを企画した〝本物〟の昭和を知る大人世代は、若者にこれを言われて、どう思うのだろう。
(夏)