昨年出産して子供の服を選ぶようになって、素材や着心地を見る目が厳しくなった。肌に触れる素材は柔らかな綿が良い。体に締め付けの痕がつかないようにしたい。立って座って寝転がってと、激しく動いても負担なく、伸縮性がある生地が良い。私の服も子供がよく触れるので、選び方が同様に変化した。共感してくれる人は多いのではないか。
これまでの自分のための服選びとは異なるファッションとの向き合い方だが、新鮮さが楽しい。ブランドのサステイナブルな取り組みや、生産背景の労働環境にも、より意識がいくようになった。我が子が見る世界、生きる未来が、できるだけ明るいものであってほしいと願うからだ。
私生活の変化は日々の取材活動にも影響している。レディスブランドの展示会では、テーマやコンセプトに寄せた思いが強く印象に残るようになった。同じ時代を生きる誰かが喜ぶ姿を想像してテーマを設定する作り手の思いが、自分ではなく子供のために服選びをする親の思いに重なるところがあるように感じている。
(衣)