《視点》就職活動

2024/06/27 06:23 更新


 私事で恐縮だが、就職活動はマスメディアに絞っていた。大学に通い、アルバイトしながらダブルスクールでエントリーシート、作文の書き方を学んだ。お金がなく、夜行バスで地方から東京に赴き、疲労困ぱいで朝から面接に臨み、寝返りが出来ないほど狭いカプセルホテルに連泊した。何社受け、何社落ち、何度肩を落としたか分からない。 

 先日、服飾専門学校の学生を取材した。話を聞く中で、「ついこの間、第1志望の会社に落ちちゃって…」と教えてくれた。約5カ月かけ、2ケタ近い面接を突破し、次が最終面接のところだった。その悔しさは言葉では言い表せないだろう。ふと、かつての自分の就職活動を思い出した。

 「手応えがあった」のに落ちたかと思えば、「絶対だめだ」と思ったのに受かった。就活あるあるだ。〝縁〟と表現される就職活動は、学生を最後に翻弄(ほんろう)するほろ苦い時間かもしれない。

 その学生は少し休んで考えを整理し、就活を再開するという。つらい時期に取材に応じてくれたことに心から感謝しながら、良縁に巡り合うことをただただ願わずにいられない。

(森)



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