政府は11月から下請法の運用を変更し、約束手形の決済期限を従来の原則120日(繊維業は90日)から60日に短縮すると決めた。日本独特の商習慣を見直し、中小企業の資金繰りを改善するためだ。26年をめどに手形利用の廃止も決定した。
現在、決済期限が短縮されることの影響を調べているが、経営者から多くの苦労話を聞けた。
昔は月末や支払日になると、取引先を1軒1軒回って集金に行った。集めた手形は毎晩自宅に持ち帰り、朝になると手形を持って出勤するが、途中で紛失する失敗もあったそうだ。
入社3年目の記者にとって驚きだったのは、120日を超える長期期間の手形が存在したり、長い間待っても不渡りで支払いを受け取れなかったりすることだ。
「昔は仕事がなく、手形で引き受けるしかなかった」という経営者もいた。手形は日本の高度成長期を支えた側面もあるが、不利な条件をのむしかない企業もあったのかもしれない。
手形の期限短縮、廃止で取引適正化は進むだろうか。今後の動きを注視したい。
(坂)