先日、K-POPアイドルのコンサートに行った。時々テレビに出ているのを見かけるのみで、曲やメンバー名もよく知らないグループだったが、多くのファンが熱狂する空間に身を置くと否が応でもテンションが上がった。
コンサートの中盤、「日本で初公開します。聴けばその意味が分かると思います」と前置きして未発表の曲を初披露する場面があった。なんだろうと思いながら聴いていると、サビのメロディーが坂本龍一氏の『戦場のメリークリスマス』だった。
あの特徴的なリフレインをEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)でアレンジし、聞き取れた範囲では英語歌詞のラブソングのようだった。原典の物悲しいイメージが一切感じられない大胆なアレンジに驚かされると同時に、既存の文化を貪欲(どんよく)に取り込み、新たな熱狂を生み出す様子に感心した。
記録的な円安が問題視されているが、輸出には追い風となる。「日本の物作り」のアピールは必須だが、相手先が喜ぶようなアレンジや仕掛けをするサービス精神は、世界を席巻するKカルチャーに学ぶところも多いと感じる。
(郁)