ビジネスやスポーツの世界では、突如としてルールが改定されることがある。それは、時には、「改正」とも「改悪」とも受け止められる。人は「ルールは不変」だと思い込みがちだが、本質的にルールは環境や社会の要請に応じて変わるものだ。
日本将棋連盟が妊娠不戦敗規定の削除を決めた。休場や復帰の柔軟性を認め、出産や育児でキャリアが途切れるリスクを下げ、棋士が安心してライフイベントを迎えられる仕組みを整えようとしている。これは競技人口の維持や多様性確保に向けた戦略的な一歩だ。
こうした変化はファッション業界にも通じる。近年、働き方改革やジェンダー平等の流れを受け、ブランドや小売り現場でも「当たり前」が問い直されている。長時間労働の是正や育児支援制度の導入は、従来の慣行を変え、柔軟な働き方を可能にしている。将棋界同様、背景には人材を生かし、持続可能な成長を目指すという共通の課題がある。
重要なのは、変化を競争力強化の契機と捉えられるかだ。固定観念に縛られず、ルールの変更を成長の糧にできるかどうかが、未来を左右する。
(樹)
