ブランド創立20周年を迎えた「ヴゼット」(鈴木忠之、田辺瑞紀)は16~17年秋冬、これまで作ってきた中で特に思い入れのあるアイテムを、「今ならこう表現したい」と再解釈して作った。機能性の面で修正したところもあれば、ヒット品番を今の気分に変えたものもある。20年前とは違うデザイナー本人たちの服に対する感覚の変化が形になっている。このブランドを知る人にとっては、アーカイブをたどるような楽しさもある。
どこか甘さを含んだデザインが持ち味でそれがリアルさでもあるのだが、今回はその特徴的な表情をより大人っぽくした。フリルやラッフルは幅を広く、少し大げさにすることで逆にクールに振れている。いつも様々なアイテムに使っているレースは、黒のクラシックな柄で。看板アイテムだったツイードジャケットはオーバーサイズシルエットにした。
振り返るだけでなく、目新しい商品ももちろんある。秋冬イチ押しのファー付きピーコート、胸元にV字にフリルを入れたセーター、「ゴールド」のラインでは背中にレースを貼ったラムレザーブルゾンや二重ボックスプリーツのタイトスカートなどを出している。
17日には20周年と、今年1月からモリリンと資本提携したことによるブランドのリローンチ記念パーティーを開いた。「20年続けられたことは奇跡。これまでの縁に感謝して、またお返しできるようがんばる」と鈴木。モリリンの森正志社長兼COO(最高執行責任者)もあいさつした。会場は南青山のブルーノートで、ジャズピアニストの大西順子さんのライブを皆で楽しんだ。