カウンセリング感覚の接客
「印」なんばパークス店店長 柴崎照大さん
柴崎さんは、お客の気を引くような声掛けが得意。「カウンセリングする感覚」と振り返るように、相手の体格や様子をよく見てアプローチしている。例えば、腕が長めの人には、「ふだん着ている服の袖の長さは足りていますか? 自分は腕が長いので探すのに苦労するんです」というように話し掛ける。
声掛けに工夫する理由は、「売ろう、という気持ちが先行すると嫌がる人もいる」からだ。話題は体形をはじめ、コーディネートなど客がコンプレックスを感じがちなことが多い。それをズバリ言い当てるようにではなく、理解を示す感覚で話しかける。「お客の持つコンプレックスをくつがえすのが好き」と言うように、がっしりした人に細いシルエットや細く見える着こなしを薦めるなど、前向きな解決方法を提案する。
接客では専門用語は避け、誰が聞いてもわかりやすい話し方も重視する。例えばテーパードなら、「裾にかけて細くなる」などと言い換える具合だ。「この業界で働く前に、客として服屋の販売スタッフの話を聞き、分からない単語が多かった」経験を教訓にした。〝客目線〟の商品説明で、信頼はさらに獲得できる。こうした接客とアプローチで生まれた購入客の多くは、「後からリピーターになって再来店してくれている」。
(繊研新聞 2015年6月8日付19249号 肩書は取材当時のもの)