女性のキャリア開発を支援する一般社団法人「ウィメンズ・エンパワメント・イン・ファッション」(WEF、尾原蓉子会長)が、設立1年を迎えた。初年度はシンポジウムやキャリアアップ講座など、13のプログラムを実施。会員企業は34社、個人会員は30人を数え(いずれも有料)、退会する企業・個人はいない。ファッション業界の女性リーダーを育てることを目的にしたWEFが、業界内で着実に浸透している。
WEFは女性の活躍を阻む要因として、①ロールモデルがいない②管理職になりたがらないなど女性自身の意識の問題③男性の意識と企業文化の問題④働き方の問題――の四つがあるとして、それぞれの解決に向けた取り組みをしている。この1年で3回開催した公開シンポジウムは業界内ロールモデルの表出を目指し、毎回200人以上の参加者を動員。会員企業の社員を対象にしたキャリア構築プログラム(全5回)は女性自身の意識改革とネットワークの構築を促し、人事部長などを対象にした「ウィメンズエンパワメント(WE)推進者会議」(全3回)や経営者へ働きかける「経営者懇談会」(1回)では、企業文化を改革するためのノウハウや事例の共有を図った。
活動は活発に行われたものの、業界における女性の活躍推進に向けては課題が残る。WEFでは、活動1年の節目に会員企業を対象に、「過去1年で女性管理職数が増えたか」を聞いたところ、返答企業のうち67%で増えたと回答した。しかし、女性役員への登用を阻む要因を問う設問では「必要な知識・経験・判断力を持つ女性が不在/少ない」、部長職への登用を阻むのは「管理職候補女性の人材プールが不在」「ロールモデルが不在で女性自身がイメージできない」、課長職への登用を阻むのは「女性が管理職になりたがらない」との声が多かった。
そのため、活動2年目も今年度と同様の活動を続ける。並行して、会員の対象分野も拡大。副資材のほかファッショングッズや産地、化粧品関連企業にも参加を呼びかけ、今年度中に会員企業は40社、個人会員を40人に増やす。